干し芋切り落とし

2023年03月19日

干し芋の製造工程で成形する際

切り落としの部分が出るのですが

それも乾燥させます


正規品と同じ芋から出た物で

糖度も色も同じですが恰好が悪い部分です

これを「切り落とし」として

販売しているのですが

形と多少の硬さのばらつきがあるだけで

美味しいのです



特に一番端の部分がねっとりと柔らかく

口当たりが良いので

私は正規品よりも好きです


値段もお得感があるので

こちらのほうを買っていくお客様も多く

正規品は人にあげるときのために購入し

自宅用は「切り落とし」という人も珍しくないようです


ギンヒカリ

2023年03月18日

群馬県が推奨している特別なニジマス

「ギンヒカリ」という魚があります

海のない群馬県で完全養殖されています


ニジマスなのですが

普通、2年で成熟するメスの個体のうち

3年かかるものがあり

その個体を選抜育種し固定化した魚です

通常のニジマスよりも栄養成分が優れていて

低脂肪、DHAやEPAも豊富です


山間部の清冽な水を使って育てられ

完全養殖なので寄生虫の心配もありません

これがとにかく美味しい!


刺身や漬けで食べるのが最高ですが

塩焼きにしても美味しいです

生産者によっては漬けの冷凍品を

出しているところもあり

ルイベのように食べるとまた格別です


実はこのギンヒカリを使って

みそ漬にしてはどうかという提案があり

試作を始めているのですが

今のところ塩焼きのほうが美味しいという

意見が圧倒的です



この後の調整でどこまで

ギンヒカリの美味しさが引き出せるか

勝負どころですね

みそ漬がもし難しければ

レストランでギンヒカリの塩焼き定食として

出すのも良いなあと考えてます




手前取り

2023年03月12日

SDGsが呼びかけられ

食品ロス削減が叫ばれるようになり

スーパーの売り場の棚には

「手前取り推奨」という文言が

さりげなく張られるようになりました

良いことだと思います


期限」が付いた鮮魚や生肉ならいざ知らず

パッケージされて「賞期限」が付いた食品は

すぐに品質が変わるものではないのですが

以前は

「賢い主婦はなるべく賞味期限の長いものを選びましょう」

などと雑誌やテレビで言われていました


食品の使用期限というものが

初めて付けられるようになったころ

塩や砂糖まで日付を切って店頭に並び始めたので

あきれたのを覚えています


あの頃から徐々に多くの人の

食品に対して食べられるか食べられないかを

見極める能力が低下していきました

それは子供に家事の手伝いをさせなくなって

勉強さえしていれば親は文句を言わないという

当時の社会状況も拍車をかけたように思います


話は少し違いますが

昔は味噌漬けは完全に保存食で塩が強く

常温で永く置いておける食品でした


「たむらや」のみそ漬も開封する前ならば

常温で置いておけますが

塩を大分減らしてきましたので

昔の感覚で扱われると困ります


でもお年寄りの中にはみそ漬だからと

贈答で貰ったものを押し入れにしまって

そのまま忘れて気付いた時には

1年2年たっていたという事がままあるようで

通販に交換してくれないかという問い合わせが来たことがあります


さすがに交換はお断りしましたが

送りつけられてきた「2年物の当社のみそ漬」の状態は

なかなかすごい色で

墨汁のように真っ黒になっていました

でもガスが出て袋が膨らんでいるわけでもなく

触ってみてもそれなりの感触は保たれています

この状態ならば食べても健康被害はないだろうと判断し

試しに切って食べてみました


食べることは可能でしたが

味噌の風味は本来の物とは別物で

お世辞にも美味しいとは思えませんが

塩加減はまろやかになっていました

色があまりに衝撃的なのでそれ以上は手が出ませんでしたが




ちらし寿司

2023年03月10日

たむらやのレストランでは木曜と金曜だけ

地元の幼稚園の給食用のお弁当を作っています



3月3日のお弁当に栄養士がちらし寿司の献立を立てました

予算も限られていますので豪華な食材は使えませんが

錦糸卵で華やかに飾り

地元農家の苺も添えてひな祭りらしさを出しました



幼稚園の先生からは

今の家庭ではひな祭りにちらし寿司を作る家庭もあまりないので

お弁当に取り入れてくださってありがとうございました・・・・と

コメントを頂きました



お寿司屋さんやスーパーのお弁当コーナーに

海鮮チラシは良くありますが

家庭で作るちらし寿司は

だんだん無くなってしまうのかと考えると残念です


昔、私の祖母が作った五目ずしは

椎茸や干瓢や人参その他それぞれ味をつけて

混ぜ込んであったように思います



石打の親戚の家にスキーをしに行ったとき

おばさんがお弁当につくってくれた五目ずしは

クルミが入っていました



子供の頃はそのありがたみがわからず

気分で食べたり食べなかったりでしたが

今となっては作り方を聞いておけばよかったと

悔やまれます

まあ作り方を知っていても

実際に作れるかは微妙ですけど





旨い物Ⅱ

2023年03月10日

野菜料理が好きで

脂肪たっぷりの肉が苦手と書きましたが

肉が嫌いなわけではありません

口当たり良く調理された赤身肉は美味しいと思います


生まれて初めて食べたステーキは

叔父が連れて行ってくれた洋食屋さんの

ヒレステーキでした

小学生の3年生くらいでしたが

それ以来ステーキと言えばヒレと

私の脳には刷り込まれました


群馬県は養豚が盛んなので

肉と言えば豚肉なのですが

肉牛の飼育も少なくありません



今までは群馬県産牛を出荷して

出荷先で一定期間肥育したのち

そこの地域のブランドで

売りに出されると聞いていました


でももうだいぶ前から群馬のブランド牛を

作ろうと関係者は努力を重ねています

県外でどのくらい浸透しているのかは

私にはわかりませんが

今日は高級牛肉でいこうと思ったときに

選択肢に入ってくるくらいには私の頭に定着しています



普段使う肉は豚肉か鶏肉が圧倒的に多いですが

食肉加工の関係者から聞いた話では

群馬県民はあまり肉を食べないのだそうです

興味を惹かれて周囲の人に普段どのくらい肉を食べるか

聞いて回ったことがあります

年齢的にも比較的高齢層であったので

「野菜炒めに入れるくらい」

という人が多かったように感じます

群馬県民はマグロの刺身の消費が多いという記事も

見たことがあるので、どちらかと言えば魚派の人が

多いのかなと認識しています。




旨い物

2023年03月05日

一般に美味しい物・御馳走というと

さしがたっぷり入ったブランド牛肉とか

マグロの大トロ部分とか

脂肪の多い食材が

もてはやされています


あるいはいかに価格の張る食材を使っているか

という切り口でアピールされることが

多いような気がします


私は子供の頃から肉の脂身が苦手で

豚ロースの脂身部分を

そっくり外して食べていたので

脂のきつい食材は苦手です


サンマやサバなら脂ののった身を堪能できますが

和牛のサーロインとかになると無理です

昔恵比寿のお寿司屋さんで

「今日は大トロの良いのがありますよ」と言われ

大トロ自体はあまり食べたことがなかったので

炙りで頼んでみましたが

やっぱりこれは私には無理と感じました


脂肪たっぷりとまではいかなくとも

若いころはそれなりに

こってりしたものも好きでしたが

今では冬になると

じっくりと煮込んで味のしみた大根が食べたいとか

白菜とねぎが大量に入った鍋が食べたいとか


夏場なら万願寺トウガラシや伏見唐辛子などを

じゃこと一緒に炒め煮にしたり

茄子を揚げて天つゆと大根おろしたっぷりで食べたり


そんな献立を考えていると食欲がわいてきて

いそいそと野菜を買いに出かけるのです


今の時期なら

スナップエンドウやアスパラガスが

出始めているので鶏肉やむき海老と一緒に

あっさりと炒めても美味しいなあなどと

買い物をしながら考えます。


なのにその隣にやまうどが出ているのを見ると

これを金平にしても良いねえと考えが移ります

そんな状態で買い物をすると

いったい何を作りたいのかわからないような物が

買い物かごの中にたまっていきます


前橋に住んでいるから

こういう嗜好になったのでしょうか

年齢的なものもあると思いますが

今住んでいるこの地域は

食の観点から見ると天国です





昆布-Ⅱ

2023年02月23日

出汁昆布は実際に使うことがなくなっても

まわりまわってインスタント出汁として使っています

でも昆布巻きや切昆布を食卓にのせることは

もうお正月くらいしか無いのではないでしょうか


昔私の母は新巻き鮭のカマの部分を一口大に切り

良い昆布を選んでそのカマを巻き

干瓢で縛っておでんの具にしましたが

恐ろしく手間がかかりました


でも時間をかけて骨まで柔らかく煮た

鮭カマの昆布巻きは美味しかったです

年齢的にも昆布巻きなんてあまり好まない年代でしたが

あの昆布巻きはまた食べたいと思いました


がごめ昆布が健康食品として一時的にブームになったり

塩昆布を浅漬けやサラダに使うレシピが出たり

手軽にできるレシピがよくあるので

まだ昆布の需要は何とか続くのでしょうが

昆布巻きが煮汁を吸って昆布自体の厚みを増し

昆布のうまみと煮汁の味が染みた昆布巻きに

かじりついて感じる醍醐味は

塩昆布や細切昆布では味わえません



昔ながらの手間と時間をかけた料理が

無くなっていくのはとても寂しいです。


時間があるときに自分で作ろうという気持ちは

あるのですがなかなかその時が来ません






昆布

2023年02月20日

ここのところ昆布加工をメインにしている会社と

何度かやり取りしています


昆布は鰹節と並んで

和食の味の基本となる物ですが

実際に昆布や鰹節で出汁を取る家庭は

今の日本にどのくらい残っているのでしょう


昆布と鰹節で丁寧に出汁を引いて作った吸い物は

ちょっとびっくりするくらい美味しく仕上がります

でも一般の家庭で毎日それをするのは無理があります

それにお金もかかります

あと何より残った出汁殻といいますか

美味しい出汁を取った後に残った

昆布と鰹の処分に悩みます


昔の料理本にはその出汁殻を使って

佃煮を作ると無駄になりません

と謳っていましたけど

毎日毎日作っていたら食べきれません

そもそも料理にそこまで時間と手間をかけるのは

現役世代には無理な話です


でも覚えていて良いと思う技が

昆布の水出しです


麦茶のポットに昆布を入れて

水を注ぎ冷蔵庫に入れて

一晩~丸一日ほど置いておくと

とっても良い昆布出汁がとれます

これを鍋に入れて加熱し

沸騰したら削り節をいれます

使う昆布や削り節の量にもよりますが

かなり上質の吸い地ができます


煮物にもその昆布出汁を使えるし

昆布出汁は癖がなく

かつお出汁のように強い香りも無いので

結構何にでも使えます

(作ったら早めに使い切りましょう)

このくらいの量なら引き上げた昆布は

炊き込みご飯に炊きこんで炊きあがってから

中の昆布を引き出して

細かく刻んで御飯に混ぜ込んで完食です






2023年02月12日

冬場なので下仁田葱に続いて葱の話題です


以前、暮れになると埼玉の取引先から

深谷葱を頂いた時期がありました

深谷も葱の産地として有名です

頂いた葱も繊維が柔らかく

美味しかったのを覚えています

後から色々と深谷葱に関する話を聞く機会があって

深谷市の新戒地区の葱が別格に美味しいと教わりました

やはり農産物は土壌の影響が大きいのですね


農家は主な栽培品以外に自家消費するための畑を作り

色々なものを栽培していますが

それらを頂くことも多く

しかもそれがとても美味しかったりします

時に名の知れたブランド野菜より

はるかに美味しいときもあります

自分の作った農産物を

ブランド化することが得意な農家はめったにないですが

つくづく職人なんだなあと感じる瞬間です

それとも土壌が良いのでしょうか


前橋市の大胡地区にごく一部

抜きんでて良い大根が取れる土地があるそうなのですが

ほとんど話題に上がりません

古代の地層が露出しているとかでその部分でだけ

秀逸な大根ができると当社の会長は言います

農地がどんどん住宅地に変わっていきます

家が建ってしまえばそんな事

誰も思い出さなくなってしまうでしょう



下仁田葱

2023年02月12日

「国府白菜」の回で

「馬山地区産下仁田葱」を出しましたが

この馬山地区というのは

もともとの下仁田葱の産地です


昔、下仁田葱はこの地区でないと

出来なかったと聞いています

他の地域に種をまいても

同じ物にならないという話でした


品種改良が進み馬山地区以外の地域でも

下仁田葱の栽培ができるようになり

普通にスーパーに並ぶようになりました


こだわりの強い八百屋に並んでいた

昔の「馬山地区産下仁田葱」は

畑で青みの部分が枯れて茶色くなったころ収穫されて

店頭に並んだ時は見た目は決して良くないのですが

白身の部分が太く固く締まっていて

結構な存在感でした


下仁田葱は生でかじると辛みが非常に強いのですが

加熱するとそれが甘味に変わります

鍋にするのが最適ですが

これをぶつ切りにして天ぷらにしたり

じっくり焼いて食べても本当に美味しいネギです

馬山地区では今でも下仁田葱の出荷は

12月1日を解禁日としています