2023年05月02日
四月、たむらやの会長が亡くなりました。
常に考え、そして行動する人でした。
第一線を退いてからも自分のライフワークとして
漬物や乳酸菌・酵母菌の研究を続けていました。
それは平成25年に自損事故で両足切断という大怪我をした後も
変わることはありませんでした。
またそれだけでなく自宅の周囲の整備や家の中
自分の生活する範囲すべてを
より使いやすくするために考え動いていました
あらゆる方向に思考をめぐらし
自分が考えることを実現するための努力を怠らない
稀有な人だったと思います。
会長の机を整理していたとき
初代助次郎の帳面が出てきました。
会長が6~7歳の時に亡くなっていますが
逸話の多い人で会長の記憶の中では
大きな存在だったと思います。
日常的に使う物と一緒にこの帳面がしまってあったのは
相応の思い入れがあったのだと感じます。
私にとって曾祖父にあたりますが
一度も会ったことのない人の人物像が
私の中にしっかりとした形をもって植え付けられているのは
会長の持つイメージを私が受け継いでいるのかもしれません。
会長はあまり一般的な遊びは好まず
飲み会やゴルフなどで出ることは滅多にない人でしたが
人と関わることは好きなようで
多くの人と分け隔てなく付き合っていました。
告別式には多くの人にご参列いただきました。
ありがとうございました。
2023年04月02日
ずいぶんと暖かくなってきました
直売所の野菜も茄子やキュウリが増えてきました
大根や白菜は姿を消し
キャベツとレタスが場所をとっています
葉物はアブラナ、ほうれん草、小松菜などの隣に
パクチーが並んでいます
あまり使う機会はありませんが
エスニック風に仕上げたいときには使います
以前は日本のスーパーでは見ない野菜でしたが
手に入れるのにさほど苦労しない程度には一般的になりました
40年ほど前
台湾の度小月で台南担仔麺を食べたときに
香菜として認識したのですが
おそらく初めて食べたと思われるのに
同じ匂いの記憶があるのが不思議でした
どこでその匂いを体験したのか覚えていませんが
洋食でもコリアンダーとして使われていますし
カレーのスパイスにも含まれているようなので
どこかで食べていたのだろうと結論付けました
嗅覚というのは不思議なものです
2023年04月01日
タラの芽を頂いた時
一緒に白菜の花芽を頂きました
まあ見た目はそのままアブラナなのですが
これも茹でて昆布醤油で頂きました
甘味があって美味しい青菜です
白菜はアブラナ科の野菜で
他にも大根やブロッコリー、
キャベツやカブ、などたくさんあります
日本にはもともとアブラナ科の植物が多かったため
明治時代に白菜が日本に入ってきたとき
自前で種を採ろうとしても
ほかのアブラナ科の植物と交雑してしまい
なかなか種が採れなかったと言います
白菜の花芽が美味しいというのは
以前から聞いていました
白菜農家には周知の事だったのでしょう
最近テレビでも白菜の花芽を作って出荷している農家が
取り上げられていました
群馬県ではアブラナを
ホウレンソウや小松菜と同じように茹でて食べます
全国的には「菜花・ナバナ」として
15センチ位に切った花芽の部分が
束ねて売られていますが
このあたりではもっと長く伸びた
アブラナを「かき菜」とか「摘み菜」などと
生産者が名付けて販売しています
またここ最近たむらやの畑で栽培している
群馬の伝統野菜である「田口菜」もアブラナです
2023年03月28日
以前作っていた「山椒の浅炊き」は
発売当初、私自身も山に入り山椒の葉を採りました
社長の実家の所有する山林の木々の陰に
山椒の木が自生しているのでその葉を摘みます
口で言うと簡単ですが斜面に落ち葉や枯れ枝や雑草が積もり
岩や朽ち木も横たわっていたりします
足場が悪く移動するのに予想外に時間がかかります
そのうえ棘のある山椒の木から葉を摘むのは
そんなに簡単な作業ではありません
庭の山椒の木からあしらいに使う木の芽を摘むのは
なんてことない片手間仕事ですが
炊くために摘む山椒の葉は作業の難しさから考えると
気の遠くなるような仕事でした
その頃まだ元気だった義母が手伝ってくれましたが
七十を過ぎた義母が足場の悪い中を
まるで舗装道路を歩くのと同じペースで動くのを見て
びっくりしました
義母は山に入るのが好きで
周りの心配をよそに山菜取りによく山に入っていたようで
慣れた作業で葉を摘むのも早く
私は太刀打ちできません
なぜ山林の中で山椒を取るかと言えば
木の陰に自生している山椒の葉が
柔らかくて美味しいからですが
作業効率から考えると割高です
自分で何度か体験してみてよくわかりますが
経験のない人にやってもらっても
時間当たり採取できる量はごくわずかです
慣れた人の三分の一くらいしか私は摘めなかったのです
もともと山での採取に慣れた人でないと
勤まらない仕事です
微々たる量しか採れなければ
こちらで買い取るにしても大した金額になりません
農家のお年寄りで山に入って
普通に山菜を採取している方たちに
山椒を採ってもらっていましたが
そういった習慣のある世代はもう皆さん体が利かなくなり
若い世代でそれをやろうという人は
もういないでしょうね
2023年03月27日
この時期「たむらや」ではごくわずかですが
「蕗味噌」を作って販売します
本当に僅かな量なので
出したらすぐに売り切れ状態です
以前はもう少し多めに作っていたのですが
蕗の薹を手に入れるのが難しくなり
手に入った量だけ作るようになってしまいました
待っているお客様がいらっしゃるので
連絡のつく方にはお知らせしますが
登録のない方はどうしようもありません
同様に以前「山椒の浅炊き」があったのですが
近隣の山間部で若い山椒(木の芽)を取ってくれる人が
とうとう居なくなってしまったので
販売終了してしまいました
今残っているのは地場の新筍を使った
みそ漬がありますが
こちらも掘り手の確保とイノシシとの争奪戦もあり
思うようにはいきません
その時期になれば食べたくなるものがあります
いつまで作れるでしょうか
2023年03月19日
干し芋の製造工程で成形する際
切り落としの部分が出るのですが
それも乾燥させます
正規品と同じ芋から出た物で
糖度も色も同じですが恰好が悪い部分です
これを「切り落とし」として
販売しているのですが
形と多少の硬さのばらつきがあるだけで
美味しいのです
特に一番端の部分がねっとりと柔らかく
口当たりが良いので
私は正規品よりも好きです
値段もお得感があるので
こちらのほうを買っていくお客様も多く
正規品は人にあげるときのために購入し
自宅用は「切り落とし」という人も珍しくないようです
2023年03月12日
SDGsが呼びかけられ
食品ロス削減が叫ばれるようになり
スーパーの売り場の棚には
「手前取り推奨」という文言が
さりげなく張られるようになりました
良いことだと思います
「消費期限」が付いた鮮魚や生肉ならいざ知らず
パッケージされて「賞味期限」が付いた食品は
すぐに品質が変わるものではないのですが
以前は
「賢い主婦はなるべく賞味期限の長いものを選びましょう」
などと雑誌やテレビで言われていました
食品の使用期限というものが
初めて付けられるようになったころ
塩や砂糖まで日付を切って店頭に並び始めたので
あきれたのを覚えています
あの頃から徐々に多くの人の
食品に対して食べられるか食べられないかを
見極める能力が低下していきました
それは子供に家事の手伝いをさせなくなって
勉強さえしていれば親は文句を言わないという
当時の社会状況も拍車をかけたように思います
話は少し違いますが
昔は味噌漬けは完全に保存食で塩が強く
常温で永く置いておける食品でした
「たむらや」のみそ漬も開封する前ならば
常温で置いておけますが
塩を大分減らしてきましたので
昔の感覚で扱われると困ります
でもお年寄りの中にはみそ漬だからと
贈答で貰ったものを押し入れにしまって
そのまま忘れて気付いた時には
1年2年たっていたという事がままあるようで
通販に交換してくれないかという問い合わせが来たことがあります
さすがに交換はお断りしましたが
送りつけられてきた「2年物の当社のみそ漬」の状態は
なかなかすごい色で
墨汁のように真っ黒になっていました
でもガスが出て袋が膨らんでいるわけでもなく
触ってみてもそれなりの感触は保たれています
この状態ならば食べても健康被害はないだろうと判断し
試しに切って食べてみました
食べることは可能でしたが
味噌の風味は本来の物とは別物で
お世辞にも美味しいとは思えませんが
塩加減はまろやかになっていました
色があまりに衝撃的なのでそれ以上は手が出ませんでしたが
2023年03月10日
たむらやのレストランでは木曜と金曜だけ
地元の幼稚園の給食用のお弁当を作っています
3月3日のお弁当に栄養士がちらし寿司の献立を立てました
予算も限られていますので豪華な食材は使えませんが
錦糸卵で華やかに飾り
地元農家の苺も添えてひな祭りらしさを出しました
幼稚園の先生からは
今の家庭ではひな祭りにちらし寿司を作る家庭もあまりないので
お弁当に取り入れてくださってありがとうございました・・・・と
コメントを頂きました
お寿司屋さんやスーパーのお弁当コーナーに
海鮮チラシは良くありますが
家庭で作るちらし寿司は
だんだん無くなってしまうのかと考えると残念です
昔、私の祖母が作った五目ずしは
椎茸や干瓢や人参その他それぞれ味をつけて
混ぜ込んであったように思います
石打の親戚の家にスキーをしに行ったとき
おばさんがお弁当につくってくれた五目ずしは
クルミが入っていました
子供の頃はそのありがたみがわからず
気分で食べたり食べなかったりでしたが
今となっては作り方を聞いておけばよかったと
悔やまれます
まあ作り方を知っていても
実際に作れるかは微妙ですけど